「日本人応援歌」”広がる共感!!”


..平成13年7月7日号(6日発行:夕刊フジ)より

戦後、画期的な事業を成功させてきた「無名の日本人」の 奮闘ぶりを描いた【プロジェクトX−挑戦者たち−】 (NHK、火曜日午後9時15分〜) 自らの人生を反映させるのか、多くの中高年サラリーマンが この番組を泪して見ているという。社会全体に閉塞感が漂い、 自信がなくなりつつある今、「挑戦への勇気」に多くの視聴者が 感動しているようだ。

「日本という国は、なにもエライ人が作ってきたのではない。 一人一人が頑張って、敗戦の惨状からわづか数十年でここまできた。 日本人はすごいというところから、このドラマがはじまった。」と 同局の今井章チーフ・プロデューサー。

【NHKで火曜の夜】!!
さらに、「バブル崩壊後、自らのことを過小評価している。 だから、「あなたのやったことをきちんと見ている人が 必ずいる」ということを伝えたかった」。 これがずばりあたった。 企画段階では、働き盛りの四十代を視聴者の中心に想定。 しかし、昨年三月、放送が始まると、最初に、反応があったのが、 五十〜六十代。次に二十〜三十代、そして四十代、十代と、続いた。 当初、10%前後で推移した視聴率も徐々に上昇。最も高かったのは 五月二十二日のホテルニュージャパン火災を取り上げた「炎上 男たちは 飛び込んだ」(13.4%=ビデオリサーチ調べ、関東地区) 「主題歌「地上の星」を毎朝口ずさんで出勤するというサラリーマンがいる」 (今井氏)というから、まさに”日本人応援歌”

主題歌もエンディング曲「ヘッドライト・テールライト」もシンガー・ソングライター 中島みゆきさんが、この番組のために作詞作曲した。番組の人気とともに、 歌もヒット中で、中年サラリーマンがカラオケでもよく歌うほど。田口トモロヲ氏 の独特のナレーションも悪くない。

NHK関連会社から本やビデオも発売され本は六巻、それぞれ二〜三万部、 ビデオは十巻一セットで、約一万千セットと好調だ。 番組が多くの世代に共感を得る理由に、今石氏は「取り上げた人たちの「お顔」が 実にいい。顔ではなく本当に「お顔」という感じ。それを視聴者も分かっている。 ”本物”をみんなみたかったんです」。

取材担当ディレクターは十二人。ひとつの番組にかける時間は約三ヶ月と、 膨大な手間ひまがかかる。 「制作側がこんなにせすじをして伸ばして取り組むのは、かつてはなかった。 現実に圧倒される。現実は想像が及ばないほどだから。」(同)。

取り上げる人々の意気が必死で真剣なだけに、番組を作る側も半端な気持ちでは できないという。

「体が震え、涙が止まらなかった」「敗戦のどん底から 今日の繁栄を築いた先人のことを思うと、自分は何をしたのか考えてしまう」・・・。 視聴者から、こうした声が多数寄せられるのも、それをうかがい知ることができる。

【プロジェクトX】現象!!
【プロジェクトX】現象について、西山昭彦・東京ガス都市生活研究所長は、 「人がアイデンティティーを感じる対象が、現代は国家や企業から 個人へと変わっている。

生涯に一度は、大きな仕事を!!
仕事の評価も一年毎になってきており、長いスパンで、大きなビジネスが出来ないのが 現状。その中で生涯に一度は、大きな仕事をしたいという欲求から、 ”無名”の登場人物 と自分が重なって、共感を呼ぶものと思われます。