| 【国家の大原則について】 | |
| <立花隆>「私の護憲論」(第19弾)(現代最終号)。。。。。348頁〜 | |
| 田母神俊雄前空幕長が「日本国家が侵略国家ではなかった」とする論文を公表したことで、国会に参考人招致された | |
| しかし彼は「自分が間違ったことは何一つ言っていない」と強弁し、憲法九条は改めたほうがいい」とまで主張した。 | |
| さらに、憲法二十一条と十九条を引いて「自衛隊員にだって言論の自由、思想の自由はあるはずだ」と開き直り | |
| 辞表の提出と退職金の返納を拒んだ。 | |
| こんなあきれたニュースを読みながらこの原稿を書いている。 | |
| もちろん、憲法の保障する言論の自由、思想の自由は自衛隊員にも保障されている。しかし、だからといって田母神の | |
| ような立場に置かれた人間が、何を主張してもいいと言うことにはならない。 | |
| 憲法九十九条はすべての公務員が「憲法を尊重し擁護する義務を負う」と定めている。 | |
| 特に自衛隊員の場合は、入隊するときに、憲法の遵守の誓約をすることが求められている。 | |
| 憲法六十六条では、シビリアンコントロールの原則が定められ、戦前の日本ように、軍人が自由気ままに行動することが | |
| 許されているわけではない。 | |
| 基本的人権として、言論の自由、思想の自由が万人に認められているということと、特定の立場にある人間に対しては | |
| 一定の言論の枠がはめられるということの間には何の矛盾もない。 | |
| たとえば、警察官僚が自分独自の思想をもとに「人間は自己責任においてドロボーする権利だって、人を殺す権利だって | |
| ある」と公然と主張し、それが非難されると「警察官だって言論の自由がある」と開き直ったら、たちまち免職処分を | |
| 受けるだろう。同じく、教職にある者が公然と差別的言辞を吐いたり、生徒の前で猥褻極まりないことを言ったりすれば | |
| 懲戒(免職)となることは必至である。 | |
| 特定の公職にある者は、そのポジションにふさわしい言動をキープし続けなければならない。 | |
| これは社会常識として当たり前すぎるほど当たり前のことである。それがいやなら、そういう公職につかなければいい | |
| だけの話だ。 | |
| 田母神のように、エクセントリックな人物まで、こういう場合に、憲法十九条や二十一条を持ち出すというのは、それだけ | |
| 戦後日本社会に憲法意識が定着したということを示すものであろうから、そのこと自体慶賀すべきことかもしれない。 | |
| しかし田母神に対しては「あなたはチト憲法と歴史について勉強が足りないようだ」と苦言を呈しておく。 |